脊椎関節炎
脊椎関節炎とは?
脊椎関節炎(Spondyloarthritis:SpA)は脊椎や仙腸関節などの体の軸に存在する関節や、手指、足趾などの末梢の関節に原因不明の炎症を示す疾患です。関節リウマチと異なった関節炎の分布様式を示し、付着部炎(アキレス腱など腱や筋が骨に付着する箇所の炎症)や特有の皮膚症状や眼症状などを伴うことがあります。SpAにはHLA-B27という遺伝的な背景を持つ患者さんが多く、同一家系に多発することがあります。
脊椎関節炎は主に以下の4疾患に分類されます。
①強直性脊椎炎
②乾癬性関節炎(関節症性乾癬)
③炎症性腸疾患関連脊椎関節炎
④反応性関節炎
強直性脊椎炎とは?
強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis:AS)は脊椎関節炎の中でも特に体軸関節に慢性的な炎症を生じ、病状が進行すると元々はしなやかなはずの脊椎(背骨)が強直し、一本の竹のように堅くなります。この状態をBamboo spine(竹状脊椎)と言います。40代前後の若年男性に多く、欧米に比べ我が国の有病者数は少ないと言われています。
※国が定める指定難病です。
乾癬性関節炎とは?
乾癬性関節炎(Psoriatic arthraitis:PsA)は乾癬(かんせん)という皮膚疾患に合併するリウマチ性疾患です。乾癬に罹患している患者さんの約15%に関節炎が合併することが知られています。強直性脊椎炎同様の体軸関節に炎症を来すパターンは比較的まれで、手指、足趾などの末梢の関節に炎症を生じることが多いと言われています。関節リウマチと違って、PsAの場合遠位指節間関節(DIP関節)俗に言う〝第一関節〟に症状を認めることが特徴的です。乾癬による皮膚病変が体表面の目立った箇所に認められる場合は診断が比較的容易ですが、患者さんが気付いていない部分(臀部や背部)、被髪部(頭皮など)に皮疹がある場合診断に時間を要する事があります。診断、治療に関しては皮膚科専門医との連携が必要な疾患です。
炎症性腸疾患関連脊椎関節炎とは?
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)である潰瘍性大腸炎、クローン病に合併するリウマチ性疾患です。IBDの17-39%に脊椎関節炎が合併すると言われています。
反応性関節炎とは?
反応性関節炎(Reactive arthritis:ReA)は泌尿器生殖器系感染症(尿路感染、性感染症など)、消化器系感染症(細菌性腸炎など)の発症後2-4週間後に脊椎関節炎を発症するリウマチ性疾患です。若年男性に多く、関節炎、結膜炎、尿道炎が代表的な症状です。
※以前はReiter(ライター)症候群と呼ばれていましたが、著名なリウマチ学者であったHans Reiterが第二次世界大戦時にナチスによるユダヤ人大量虐殺に加担していた点などを考慮し、最近は「反応性関節炎」に用語が統一されています。