関節リウマチとは?
ルノアールと関節リウマチ
フランスの画家ルノアール(1841-1919)は、晩年重度の関節リウマチに冒されていました。当時は関節リウマチに対する有効な治療方法は皆無であり、アスピリンによる対症療法が最新の治療方法でした。両側の手指が高度に変形し、車椅子に乗った肖像写真が現代にも伝わっています。彼の華やかな絵画は、その変形した手に絵筆をくくりつけて描かれたと言われています。
関節リウマチとは
関節リウマチは全身の関節滑膜(関節の内部を覆う膜)に原因不明の炎症を来す疾患で、我が国に約70から100万人(人口100人に0.6-1.0名の割合)の患者さんが存在すると言われています。女性に圧倒的に多い疾患で、男性の5倍ほどの頻度で発症すると言われています。関節リウマチの好発年齢は30-50代と言われており、就職や結婚、出産、子育てなど人生の重要な局面で闘病生活を余儀なくされる患者さんも少なくはありません。関節リウマチの発症原因はまだ同定されていませんが、ある種の遺伝要因に、ウイルス感染、喫煙(特に女性)、歯周病などの複数の環境要因が加わる事で発症すると言われています。発症後はおおむね慢性的な経過をたどりますが、稀に急性の関節破壊を来すパターンや、血管炎という全身の臓器障害に進展する病型も存在します。現在の様な有効な治療方針が確立する以前は、一般人口に比べ10年ほど平均寿命が短いと言われていた時代もありました。
最近の治療薬の進歩によって、関節リウマチ患者さんの関節予後、生命予後は著しく改善され、寛解(かんかい)を迎える患者さんも少なくありません。