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全身性強皮症

全身性強皮症とは?

 全身性強皮症(Systemic sclerosis:SSc)とは全身の皮膚、肺、消化管(食道、胃、小腸、大腸)などの臓器の線維化(組織が硬化)や、手や足の末梢動脈、心血管(肺動脈)、腎血管に特有の傷害を引き起こす疾患です。

※国が定める指定難病です。

皮膚の硬化について

 SScは大きく分けて①びまん型全身性強皮症と②限局型全身性強皮症という2つの病型に分けられます。限局型の場合、皮膚の硬化が手指、足指の末梢に限局するのに比べ、びまん型の場合硬化が全身の広範囲に及び、病状が進むと顔、体幹、手足に至るまで皮膚のつっぱり、開口障害、色素沈着・脱失、発汗の低下を来します。皮膚の硬化は一旦極期を過ぎると逆に改善するといわれていますが、硬化の進行を食い止める治療に関しては、今のところ有効かつ安全な治療方法は確立していません。

レイノー現象

 びまん型、限局型に共通して約90%以上の患者さんにレイノー現象という末梢血管の循環障害を認めます。典型的には寒冷刺激(冷水や寒い外気に触れるなど)によって、指先に白→紫→赤の色調変化(3相性変化)を認めます。治療の基本は保温に努めること。また、深爪をしないことや、ささくれを剥かないなど指先のケアが必要です。様々な循環改善薬が開発されていますが、症状が強い場合指先の黒色化や、壊疽に陥る事もあります。

重大な臓器障害

 びまん型、限局型とも組織の線維化が肺や消化管に及ぶと間質性肺炎(肺線維症)や食道や小腸、大腸などの消化管の虚脱、動きの停滞を引き起こします。また、肺動脈(心臓と肺を循環する重要血管)には数%の患者さんで肺動脈性肺高血圧症(PAH)という重篤な血管障害を来すことがあります。以前は間質性肺炎や肺動脈性肺高血圧症を合併した強皮症患者さんの予後は深刻なものでしたが、最近は間質性肺炎に対して抗線維化製剤(ニンテダニブ:商品名オフェブ)が適応拡大になったり、肺動脈性肺高血圧症に対してエンドセリン受容体拮抗薬やホスホジエステラーゼ-5阻害薬という画期的な治療方法が開発され予後の改善が見込まれています。また、「腎クリーゼ」という最重症の病態がまれに合併することがあり、厳密な経過観察が必要です。

 

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