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関節リウマチの治療

関節リウマチの治療

 関節リウマチの治療の柱は関節の安静、負担の除去 ②薬物療法 ③手術療法 ④理学療法リハビリテーション)が挙げられます。その中でも特に薬物療法が関節リウマチの治療の中心となっています。

薬物療法について

基本は〝なるべく早く〟〝なるべく強く〟病気をコントロールする

概略

 ルノアールが闘病していた約100年前の関節リウマチの薬物治療はアスピリンなどの対症療法のみでした。その後ステロイドや非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)、各種抗リウマチ薬(DMARDs)が徐々に開発されましたが、真の意味合いで関節破壊の進行を食い止めるには不十分な状態でした。

 1988年米国でメトトレキサート(MTX)が関節リウマチの治療薬として正式に認可され、関節破壊の進行予防効果、生命予後改善効果が証明され、その後1990年代にインフリキシマブ(商品名:レミケード)やエタネルセプト(商品名:エンブレル)などの生物学的製剤が開発されるに至って、関節リウマチの治療は新たな段階に進歩しました。

 我が国でも1999年にMTXが関節リウマチに適応となり、2003年には我が国で初の生物学的製剤であるインフリキシマブが導入されるようになってから、関節リウマチの治療は一変しました。私自身、当時駆け出しの医師でしたが、そのときの鮮烈な印象は今でも記憶に留まっています。現在治療の選択肢が格段に広がり、メトトレキサートをはじめ従来の抗リウマチ薬の他に、インフリキシマブを含めて計10種類(2020年4月現在)の生物学的製剤が日常的に使用されています。また最近は生物学的製剤と同等の薬理効果を示す経口の分子標的薬ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬も新たに登場し、これらの有効な薬物療法によって、ルノアールの時代には想像がつかなかった“寛解(症状が消失し、病気がコントロール出来ている状態)”にまで漕ぎ着けることが可能になりました。
 当院でも、MTXを中心とした経口の抗リウマチ薬の他に、生物学的製剤による治療も実施可能です。安全性の確保を第一に、個々の患者様の背景(年齢、性別、合併症、生活様式など)に合わせて総合的にケアします。

薬物療法の実際

抗リウマチ薬について

 正式名称は疾患修飾性抗リウマチ薬(Disease Modifying Anti Rheumatic Drugs:DMARDs:通称・ディーマーズ)

広い意味で関節リウマチに用いられる薬剤全体を指しますが、狭義では従来から使用されてきた経口薬を指します。DMARDsの特徴として効果が発現するために時間がかかる(遅効性)、薬が効く患者さんと効かない患者さんがいる(レスポンダーとノンレスポンダー)、長期使用で効果が減弱する(エスケープ現象)、特有の副作用の存在などが挙げられます。

代表的なDMARDs は『免疫調整薬』と『免疫抑制薬』に分けられます

免疫調整薬

①サラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)

②ブシラミン(商品名:リマチル)

③アクタリット(商品名:モーバー、オークル)

④イグラチモド(商品名:ケアラム)

免疫抑制薬

①メトトレキサート(商品名:リウマトレックス、メトレートなど)

②ミゾリビン(商品名:ブレディニン)

③レフルノミド(商品名:アラバ)

④タクロリムス(商品名:プログラフ)

〝アンカードラッグ〟メトトレキサートについて

〝アンカー〟とは〝碇(いかり)〟の意味で、〝アンカードラック〟とは関節リウマチの病状を制御するための碇の役割を担う薬剤の意味です。メトトレキサート(MTX: Methotrexate)は数ある抗リウマチ薬の中でも最も使用頻度が多く(約70-80%)、実績がある薬剤です。メトトレキサートは葉酸拮抗作用を持ち、元々は血液がんなどに用いられてきましたが、関節リウマチに効力を発揮することが解明されてからは、関節リウマチ治療の中心的な薬剤に位置づけられています。決められた用量を週1日から2日に分けて服用し、毎週繰り返すことが基本です。

有害事象としては大きく分けて①葉酸欠乏による副作用と②それ以外の副作用に分けられます。

葉酸欠乏による副作用

口内炎、消化器症状(吐き気など)、血球異常(白血球減少、貧血など)、肝機能障害

※葉酸欠乏による副作用を回避するため、あらかじめ葉酸製剤(商品名:フォリアミン)を毎週服用することが行われています。

その他の副作用

薬剤性肺炎(アレルギー機序で間質性肺炎を発症)、易感染症(特に結核、非結核性抗酸菌症)、リンパ腫、腎障害など

特に高齢者、妊婦(挙児希望者を含む)、重度の腎機能障害、癌治療中の方、感染症罹患中の方は使用を控える必要があります

『メトトレキサートを服用する患者さんへ』(日本リウマチ学会)

生物学的製剤について

 上記のメトトレキサートを使用しても関節炎が制御できない場合や、当初から深刻な関節病状の場合、あるいは合併症(腎障害など)のため薬剤の選択が困難な場合に生物学的製剤を選択することが推奨されています。

生物学的製剤とは、関節リウマチの病態に関わるTNFα、IL-6などの活性物質(サイトカイン)を中和する薬剤です。抗サイトカイン療法ともいわれ、遺伝子工学の手法を用いて開発されています。

現在我が国で使用可能な生物学的製剤

①インフリキシマブ(商品名:レミケード)

②エタネルセプト(商品名:エンブレル)

③アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)

④ゴリムマブ(商品名:シンポニー)

⑤セルトリズマブ・ペゴル(商品名:シムジア)

⑥トシリズマブ(商品名:アクテムラ)

⑦サリルマブ(商品名:ケブザラ)

⑧アバタセプト(商品名:オレンシア)

⑨インフリキシマブBS(インフリキシマブのバイオシミラー※)

⑩エタネルセプトBS(エタネルセプトのバイオシミラー※)

※バイオシミラー(バイオ後発薬)

JAK阻害薬について

 細胞の内側に存在するJAK(Janus kinase:ヤヌスキナーゼ)という酵素を阻害する事で複数のサイトカイン(前述のTNFαやIL-6などの活性物質)を抑制し、炎症や関節破壊を抑える薬です。経口薬でありながら生物学的製剤同様の効果が期待できる薬剤です。ただし感染症、特に帯状疱疹の発症率が有意に高く、その他にも血栓傾向、肝障害、血球減少などの有害事象に注意が必要です。また発売当初悪性腫瘍の発症が懸念されていましたが、今のところはっきりとした結論には至っていません。

現在3種類のJAK阻害薬が使用されています。

トファチニブ(商品名:ゼルヤンツ)

バリシチニブ(商品名:オルミエント)

ベフィシチニブ(商品名:スマイラフ)

 

ステロイド

非ステロイド性消炎鎮痛剤

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