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シェーグレン症候群

概略

 シェーグレン症候群は1933年スウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレン(Henrik Sjögrenによって報告された疾患です。唾液腺涙腺に原因不明の慢性炎症を来す自己免疫疾患で、臨床的にはドライアイドライマウスが主な症状で、男女比は1:15~17と女性に圧倒的に多い膠原病疾患です。年齢層は40代後半から60代で50代前半に発症のピークがあると言われています。有病率は0.5-5%とされていますが、実際に診療をしている印象では潜在的な患者さんはさらに多いのではないかと思われます。

 シェーグレン症候群には2つの病型があり、病変が唾液腺、涙腺に限局する原発性シェーグレン症候群と、関節リウマチやその他の膠原病に合併する2次性シェーグレン症候群に分類されます。また、原発性シェーグレン症候群のなかには唾液腺(ドライマウス)、涙腺(ドライアイ)などの症状(腺症状)の他に、関節炎や末梢神経障害(しびれなどの感覚障害)、紫斑、間質性肺炎、腎障害などの全身の臓器障害(腺外症状)を伴う事があります。

 原因は今のところ不明ですが、他の膠原病同様に遺伝的な要因(一卵性の双子の一致率は約25%)と、ウイルス感染などの環境因子が複雑に関わっていると思われます。また、前述の通り女性に圧倒的に多い疾患であり、女性ホルモンの関与も濃厚ではないかと思われます。

シェーグレン症候群の臨床症状

■腺症状:唾液腺や涙腺が傷害されることにより生じる症状です。

 口腔内乾燥症状としては、口渇感(ドライマウス)、せんべい、クラッカーなどいわゆる〝乾き物〟の飲み込みにくさう歯(むし歯)の増生、味覚異常などが代表的です。症状の経過が長い場合、自身の症状を自覚していない患者さんも一定数います。

 眼乾燥症状としては眼の異物感眼脂(目やに)、眼疲労、ゴロゴロ感などを自覚します。

その他にも耳下腺の腫れ、鼻腔や咽頭部(のど)、陰部の乾燥(性交時痛)

■腺外症状:全身の臓器に臨床症状を示します。

 関節痛(最多)、皮膚症状(紫斑、環状紅斑)、末梢神経障害、腎障害(尿細管性アシドーシス、間質性腎炎)、血液障害

※特に原発性シェーグレン症候群は健常者にくらべ悪性リンパ腫の発生頻度が約40倍高いとの報告があり、特別な注意が必要です。

シェーグレン症候群の診断

①血液検査

(ⅰ)血球減少(白血球減少、貧血、血小板減少)

(ⅱ)血沈亢進(慢性炎症を反映)

(ⅲ)抗核抗体陽性

   ・SS-A/Ro抗体 (50〜70%)

   ・SS-B/La抗体 (20%程度) 疾患特異性が高い

   その他の自己抗体:リウマトイド因子が高頻度に陽性

(ⅳ)γグロブリン血症(血中の蛋白が増える)

②ドライマウスの評価

(ⅰ)ガムテスト

 ・ガムを10分間嚙み、10ml以下であれば陽性

(ⅱ)サクソン(Saxon)テスト

 ・所定の重量測定済みのガーゼを口腔内に入れ2分間嚙んで重量を測定。2g以下が陽性

(ⅲ)唾液腺シンチグラフィー

 ・放射線元素(テクネシウム)を用いた唾液腺の機能的画像検査

(ⅳ)唾液腺造影(侵襲性が高く現在は行われることはまれ)

③ドライアイの評価

(涙腺分泌機能検査:涙の量の評価)

 (ⅰ)シルマー(Schirmer)テスト

(角結膜上皮障害:眼の表面の傷の評価)

 (ⅱ)蛍光色素検査(フルオレセイン染色)

 (ⅲ)ローズベンガル染色

④病理組織検査 口唇生検

・口唇(下唇)を麻酔の後、メスで粘膜切開しハサミで開創しながら口唇の組織を採取。

・フォーカススコアで判定

シェーグレン症候群の診断

1999年 厚生労働省診断基準が用いられています

1.病理組織検査

2.口腔検査

3.眼検査

4.自己抗体(抗SS-A抗体または抗SS-B抗体)

のいずれか2項目以上を満たせば診断

シェーグレン症候群の治療

①局所療法

(ⅰ)ドライアイ

・各種点眼薬(人工涙液、角膜保護剤、ヒアルロン酸)

・ドライアイ保護用の眼鏡

・涙点の閉鎖=涙点プラグ

(ⅱ)ドライマウス・人工唾液(噴霧式:サリベート®)

②全身療法

(ⅰ)ムスカリン受容体(M3)作動薬

・唾液腺細胞に存在するムスカリン受容体に作動し、腺分泌を促進。

(ⅱ)ステロイド=原則的に腺外症状が著明な場合に使用

(ⅲ)免疫抑制剤=まれ

(ⅳ)漢方薬=麦門冬湯など

(ⅴ)新規的治療:リツキシマブなど

 

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